相談事例~ネットトラブル①~

 

インターネットトラブルに関する相談事例

近年増加傾向にある、インターネットトラブルに関する法律問題をまとめてみました。なお,統計資料や法律改正等は,総務省統計局、消費者庁、全国の消費者センターのホームページ等が参考になりますので,そちらをご参照ください。

※ただし、素材としている判例・事例等は必ずしも最新のものとは限りません。また、下記内容は一般的な内容にとどまりますので、個々の事案については当事務所は責任を負いません。ご使用は自己責任でお願いいたします。個々の事案に関する詳しい内容につきましては、当事務所までご相談ください。

■CASE1 ネットショッピング~購入後のトラブル

ネットショッピングサイトで商品を購入しましたが、商品がいっこうに届きません。売主が行方不明の場合、私は、誰に、どのような請求をすることができますか。

A 売主である出店者に対し、商品引渡請求や債務不履行解除に基づく代金返還請求ができますが、出店者が行方不明の場合、購入者が売主にそのような請求をしても実効性が得られません。

そこで、インターネットショッピングモール運営者に責任追及することが考えられます。

この点、スーパーマーケットの中に出店したテナントに関する事案において、スーパーマーケット側に商法14条(名板貸人の責任)を類推適用して責任を認めた判例¹′があります。この判例を前提に、①インターネットショッピングモール運営者が営業主であるという外観があり、②その外観の作出についてショッピングモール運営者が関与し、③購入者が重過失なくインターネットショッピングモール運営者が営業主であると誤認した場合には、インターネットショッピングモール運営者も責任を負うことがあり得ると言えます。

しかし、実際にはインターネットショッピングにおけるトラブルについて、インターネットショッピングモール運営者が売主である出店者と同等の責任を負う実例は見当たりません。

¹′ 買い物客がテナントとの取引についてスーパーマーケットに責任追及した事案(最判平7.11.30民集49巻9号2972頁)

 【商法14条】 自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。

■CASE2 オークションサイト~「ノークレームノーリターン」は絶対か?

オークションサイトで「超美品です」と紹介された商品を落札しましたが、実際に送られてきた商品はサイトの写真には写っていない部分に傷が多数ありました。出品者は出品時に「ノークレーム・ノーリターンでお願いします」と表示していました。どうすればよいのでしょうか。

A 売主に対して、一定の法的責任を追及できる余地があります。「ノークレームノーリターン」でも、非常識な品質の商品を送られてきたのであれば、法的に対処しましょう。

 オークションサイトで中古品を販売する際、「ノークレームノーリターン」と表記して、出品者に対する商品の文句や返品を受け付けないことを明示するのが一般的です。しかし、それは出品者の説明を前提にしています。中古品ということで常識的に考えうる範囲の傷についてはともかく、限度を超えるような傷でも受任しなくてはならないという意味ではありません。

今回のようなCASEでは、①錯誤を理由とする無効(民法95条)、②詐欺を理由とする取消し(民法96条)、③商品の瑕疵(=欠陥)や出品者の説明義務違反を理由とする解除(民法570条または541条)を主張して、出品者に返品・返金を請求することができます。

また、相手が業者だった場合には、①不実告知(消費者契約法4条1項1号)や、②不利益事実の不告知(同法4条2項)などを理由に、取消しを主張することが考えられます。さらに、「超美品」という宣伝文句は特定商取引法12条の誇大広告にあたる可能性がありますので、主務大臣に申し出て、行政処分の発動等を要請することも考えられます(同法14条・15条)。

 

【民法 95条】 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

【民法96条1項】  詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

【消費者契約法4条1項1号】 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。一  重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認

【消費者契約法4条2項】 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。

 
 

■CASE3 サイトの無料ポイント~「ポイント超過分の支払い請求」について

某出会い系サイト内で、無料ポイントの範囲内でサイトを利用したはずなのに、突然、「当サイト内での無料ポイント分を超過してご利用いただいており、料金の未払いが3万円となっております。至急お支払いください。お支払いがない場合、延滞料として一日につき、1万5千円のペナルティが課されます。」と請求されました。どうすればよいのでしょうか。

A 無料の範囲について、事前に明確な告知がなかった場合は、契約を取り消せます。

 今回のようなCASEで、利用料金を支払わなければならなくなるのは、契約上、無料ポイントが適用される範囲とポイントの発生する条件が明示されている場合に限られます。契約にあたりこのような点について事前告知がなかった場合には、サイト運営者側の重要事項に関する告知義務違反となります。したがって、契約を取り消すことにより対価の支払いを免れることができます(消費者契約法4条1項1号)。

 また、上記の事項が告知されていた場合でも、未払額3万円に対し1日1万5千円のペナルティは、損害賠償額の予定としては極めて過大と言えます。このような規約や契約条項は暴利行為として公序良俗違反(民法90条)により無効です。したがって、ペナルティを支払う必要はありません。

 

 【消費者契約法4条1項1号】 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。一  重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認

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