相談事例~ネットトラブル③~

インターネットに関する相談事例

近年増加傾向にある、インターネットに関する法律問題をまとめてみました。なお、統計資料や法律改正等は、総務省統計局、消費者庁、全国の消費者センターのホームページ等が参考になりますので、そちらも併せてご参照ください。

※ただし、素材としている判例・事例等は必ずしも最新のものとは限りません。また、下記内容は一般的な内容にとどまりますので、個々の事案については当事務所は責任を負いません。ご使用は自己責任でお願いいたします。個々の事案に関する詳しい内容につきましては、当事務所までご相談ください。

■CASE1 ID・パスワードの不正使用

ネットショッピングのために会員登録しているサイトで、私のIDとパスワードを使って、他人が買い物をしたようで、身に覚えのない商品と請求書が届きました。私が料金を支払わなくてはならないのでしょうか。

A  あなたが料金を支払う必要はありません。一方、送られてきた商品については、あなたには受領する権原がないので、出品者側に返品する必要があります。

今回のCASEのような、ID・パスワードの不正使用による被害は近年増加傾向にあります。個人情報保護の観点から、個人情報の管理については日々対策が講じられていますが、個人情報の流出等に関する事例は頻発しており、今回のCASEのように個人情報を不正使用されてしまう事例は少なくありません。

たとえインターネット取引であっても、売買契約は、売主と買主の意思の表示が合致することによって成立します。今回のCASEでは、あなたの「買う」という意思の表示が存在しないため、原則として契約は成立していないと言えます。

ただし、どんな場合でも売買契約が成立しないと言い切れるわけではありません。民法においては「権利外観法理」という概念があり、真実と異なる外観を作り出したことに責任のある者がいる場合、その外観を落ち度なく信頼して取引に至った者を保護する法理です。

今回のようにID・パスワードの不正使用の被害を受けた場合、「権利外観法理」の適用を免れるためには、あなたがID・パスワードの管理を十分に行っていたと説明できるだけの工夫が必要です。

第三者にIDやパスワードを教えることは絶対にやめましょう。同時に、誕生日や電話番号、メールアドレス等の情報から簡単に推測されうるようなパスワードの設定は控えましょう。また、パソコン、スマートフォンの利用においても、不正アクセスされてパスワードを知られることがないよう、ファイアウォール等によるセキュリティ強化も必要となります。

■CASE2 ネット掲示板の誹謗中傷~インターネット上の名誉棄損

インターネットの掲示板に私を誹謗中傷する書き込みがあると友人が教えてくれました。書き込みをした人物はわかりませんが、その者に対して、私は、何か請求できないのでしょうか。

A  インターネットの掲示板は、不特定多数の人が閲覧できる空間ですから、ここに他人の名誉を毀損する書き込みをすれば、「公然」の名誉棄損として処罰の対象となります(刑法230条1項)。また、民事上の不法行為(民法709条)にも該当しますので、書き込みをした者は損害賠償責任を負うことになります。

あなたが書き込みをした人物の処罰を求めたい場合には、警察に対して告訴状を提出する必要があります。

今回のCASEのように、書き込みをした人物が不明の場合、発信者情報開示請求という制度の利用が有用と言えます(プロバイダ責任制限法4条)。この制度は、プロバイダ等の管理者に対し、あなたが、書き込みにより権利を侵害されたことが明らかであり、かつ、損害賠償請求等のために必要があるときは、書き込みをした人物の氏名、住所等の情報の開示を請求することができ、犯人の特定につながる可能性があります。

また、掲示板の書き込みはいつ削除されるかわかりませんので、随時プリントアウト等をして、保存しておくことが重要です。

 【刑法230条1項】 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。【民法709条】 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

【プロバイダ責任制限法4条1項】 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときに限り、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下「開示関係役務提供者」という。)に対し、当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の開示を請求することができる。

1 侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。

2 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。

お問い合わせボタン