相談事例~離婚①~

 

離婚に関する相談事例①

皆さまからお問い合わせが多い離婚に関する法律問題をまとめてみました。なお,統計資料や法律改正等は,総務省統計局、法務省のホームページ等が参考になりますので,そちらをご参照ください。

※ただし、素材としている判例・事例等は必ずしも最新のものとは限りません。また、下記内容は一般的な内容にとどまりますので、個々の事案については当事務所は責任を負いません。ご使用は自己責任でお願いいたします。個々の事案に関する詳しい内容につきましては、当事務所までご相談ください。

■CASE1 協議離婚~離婚するための理由に制限はあるのか

嫁姑問題と子供の教育方針について夫婦でケンカが絶えず、ここ最近は必要以上の会話をすることがなくなり、家庭内別居状態になってしまいました。私も主人もこれ以上夫婦関係を続けていくのは難しいと考えています。ただ、離婚するにあたり、裁判などで大袈裟にもめたくありません。このような場合、私は主人と離婚することができますか。

A 協議離婚の場合、離婚原因には制限はありません。

協議離婚が成立する要件は、①離婚届の提出、②離婚届提出時に夫婦間に離婚意思の合致があること、の二つです。

なお、離婚意思の合致とは、離婚届を提出する意思で足りる¹′とされています。

ただし、子どもがいる場合には離婚届提出前に、子の親権者を夫と妻のどちらにするかを決めておく必要があります。

したがって、子どもがいる場合の協議離婚の場合は、③子の親権者を定めること、という要件も必要となります。

¹′ (最判昭和38.11.28)

 【民法819条1項】 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。

■CASE2 裁判上の離婚~夫の「浮気」で離婚できるのか?

主人とは20年以上前に結婚しましたが、5年ほど前から主人が勤務先の女性と交際しているようで、平日はまったく家に帰ってきません。探偵を雇って調べたところ、その女性と主人は半同棲状態のようです。夫に「浮気をやめないなら離婚する」と言いましたが、謝るどころか休日さえも家に帰ってこなくなりました。私は離婚を本気で考えていますが、主人は会社や世間体を気にしているのか「離婚はしない」と断固拒否しています。私は主人の浮気を理由に離婚できるのでしょうか。

A 夫婦の一方が離婚を拒否しているような場合、裁判所が法定離婚原因(民法770条)を認定しない限り、離婚は認められません。

法定離婚原因とは、①配偶者に不貞な行為があったとき、②配偶者から悪意で遺棄されたとき、③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき、④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき、⑤婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき、の5つです。

今回のようなCASEでは、裁判所に、①配偶者に不貞な行為があったとき、を主張して、裁判所が認定してくれれば、離婚原因があるということになり、ご主人と離婚することができます。

「配偶者に不貞な行為があったとき」とは、具体的にはどのような場合を指すのでしょうか。一般的には貞操義務違反を指し、「不貞行為とは、相手方の意思が自由であると否とを問わず、配偶者のある者が自由な意思に基づいて配偶者以外の異性と肉体関係を結ぶこと²′」と判示されています。具体的には、今回のCASEのように夫が他の女性と同棲したり、長期間にわたって交際していたりすることなどが挙げられます。

では、偶発的な一度の肉体関係でも離婚原因になり得るでしょうか。

これについては、ご相談でお尋ねなさる方がとても多いのですが、正直微妙な問題です。実際には、離婚を許容している裁判例のほとんどが「継続的な」肉体関係がある事例です。よって、配偶者の一度の不貞行為を理由として離婚を望む場合には、不貞行為と併せて、婚姻を継続し難い重大な事由があるとして、離婚原因を2つ挙げて離婚請求しておくほうが良いでしょう。

²′(最判昭和48.11.15)

 

【民法 770条1項】 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき

三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

五 婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

■CASE3 裁判上の離婚~生活費を払わない夫と離婚できるのか?

私は主人と結婚して15年になりますが、半年ほど前から主人が生活費を一銭も入れてくれず、生活に困っています。主人は会社員で年収はおよそ600万円、私は専業主婦です。大学生1人と高校生1人の子どもがいます。主人に対し、離婚を請求することはできますか。

A ご主人が協議離婚に応じてくれない場合、悪意の遺棄を原因として家庭裁判所に裁判上の離婚を請求することができます。

夫婦は同居し、互いに協力し合い扶助しなければならないとされています(民法752条)。また、夫婦は婚姻から生じる費用を分担する義務を負っています(民法760条)。夫婦の協力義務、扶助義務、婚姻費用分担義務は、婚姻が継続している限り免れ得ない義務だとされています。

今回のCASEのように、専業主婦でお子さんが二人もいるにもかかわらず、年収600万円のご主人は生活費を一銭も支払ってくれないという場合には、ご主人には協力義務違反、扶助義務違反、婚姻費用分担義務違反があるといえます。

また、遺棄とは、正当な理由がなく夫婦の同居義務、協力義務、扶助義務、婚姻費用分担義務に違反することを指します。これらのすべてに該当する必要はなく、どれか一つでも義務違反があれば足ります。したがって、今回のCASEではご主人の協力義務、扶助義務、および婚姻費用分担義務違反により、法定離婚原因の「配偶者から悪意で遺棄されたとき」に該当し、離婚を請求することができます。

 

 【民法752条】 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。 

【民法760条】 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

お問い合わせボタン