相談事例~離婚②~

 

 

離婚に関する相談事例②

皆さまからお問い合わせが多い離婚に関する法律問題をまとめてみました。なお,統計資料や法律改正等は,総務省統計局、法務省のホームページ等が参考になりますので,そちらをご参照ください。

※ただし、素材としている判例・事例等は必ずしも最新のものとは限りません。また、下記内容は一般的な内容にとどまりますので、個々の事案については当事務所は責任を負いません。ご使用は自己責任でお願いいたします。個々の事案に関する詳しい内容につきましては、当事務所までご相談ください。

■CASE1 財産分与~離婚における財産の分け方

私と主人は結婚して10年が経ち、5歳になる息子がいます。お互いに干渉しない生活を送ってきたせいか主人との間で価値観や教育に対する意見が合わず、私は離婚を考えています。私たち夫婦は結婚当初から共働きで、家族3人各自名義の預貯金と、主人名義の生命保険があります。このような場合、これらの財産は離婚するときどのように分けることになるのでしょうか。

A 離婚の際、配偶者の一方は他方に対して財産の分与を請求することができます(民法768条1項)。

財産分与には、①清算的な要素、②扶養的な要素、③慰謝料的な要素、の3つがあるとされています。このうち、①清算的な要素が財産分与の中心を占めており、夫婦が共同生活中に形成した財産の清算がなされることとなります。

では、財産分与の対象となるものはどんなものでしょうか。

夫婦が婚姻期間中に協力して得た財産が対象となりますので、今回のCASEでは、預貯金については夫名義でも妻名義でも、いずれも対象となります。

では、子ども名義の預貯金はどうなるのでしょうか。今回のCASEのようにお子さんがまだ幼く、夫婦がお子さんのために貯蓄していた預貯金については、財産分与の対象となります。ただし、仮にお子さんが高校生でアルバイト等で貯めた預貯金である場合には、夫婦で協力して得た財産ではないため、財産分与の対象とはなりません。

また、へそくりやタンス預金も財産分与の対象となりますので注意が必要です。

生命保険については、一般的に、生命保険の保険金受給という将来不確定な側面が強いため、保険金を財産分与の対象とすることはできません¹´。

今回のCASEでは、生命保険を継続する必要があるかどうかをまず検討したほうが良いでしょう。継続する必要がないと判断すれば、解約し、解約返戻金がある場合には財産分与の対象財産に加えればよいことになります。

ちなみに、生命保険の継続について夫婦間で意見が分かれた場合、継続したい夫婦の一方が、保険契約を承継することも可能です。その際に解約返戻金もあるようなCASEも出てきます。このような場合に関しては、詳しくは法律相談をご利用ください。

¹′ (東京高判昭和61.1.29)

 【民法768条1項】 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

■CASE2 熟年離婚~夫の「退職金」・「年金」は分与されるのか?

主人とは30年以上前に結婚しました。主人はサラリーマンで、あと3年で定年退職となります。主人が退職したら離婚したいと考えています。私は結婚以来ずっと専業主婦で、私名義の預貯金等はありません。私は主人の退職金や年金を財産分与でもらえるのでしょうか。

A 退職金は、財産分与の対象となります。

退職金とは、退職して初めて受け取ることができるものであり不確定な性質を持っていますが、一般的には雇用期間中の労働に対する賃金を後払いするものと考えられています。

今回のようなCASEでは、退職金のうち婚姻期間30年に相当する部分については、配偶者による貢献が反映されていると考え、財産分与の対象とするのが妥当と判断されるでしょう。

では、年金についてはどうでしょうか。

これについては、年金分割という制度があります。分割の対象となるのは婚姻期間中の厚生年金と共済年金についてであり、基礎年金や企業年金などの自主年金は対象外です。

平成20年4月1日以降に離婚した場合に利用できる3号分割制度と、平成19年4月1日以降に離婚した場合に利用できる合意分割制度があります。

今回のCASEでは、平成20年4月1日以降に離婚した場合に利用できる3号分割制度に基づいて、平成20年4月1日以降から離婚に至るまでの期間の年金分割を行うことが可能です。また、上記期間を含む婚姻期間全体について合意分割制度に基づく年金分割を行うこともできます。

年金分割制度の内容や個々の手続き等については日本年金機構のWEBサイト等にも掲載されていますのでご参照ください。

 

■CASE3 慰謝料~慰謝料の金額とは?

私は主人と結婚して15年になりますが、これまでずっと主人から暴言や暴力を受けてきました。これ以上耐えられないので離婚したいと考えています。主人に対し、離婚を請求することはできますか。財産分与とは別に、慰謝料を請求することはできるでしょうか。

A ご主人が協議離婚に応じてくれない場合、婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)に該当するとして、家庭裁判所に裁判上の離婚を請求することができます。

夫婦間における暴力・虐待行為は絶対に許されるものではありませんが、具体的な暴力・虐待行為が婚姻を継続し難い重大な事由にあたるかどうかは様々な事情を考慮して判断されるので、必ずしも一括りにはできないのが実情です。

今回のCASEのように、15年という婚姻期間の長さ、暴力と暴言が続いたことなどの事情から、法廷離婚原因が認められる可能性が高いといえます。

また、慰謝料とは、①離婚慰謝料(離婚そのものによる慰謝料)と、②離婚原因慰謝料(離婚原因となった不貞行為や暴力などの個々の有責行為に対する慰謝料)の二つの性質を併せ持っています。

今回のCASEでは、②離婚原因慰謝料を請求することになります。

慰謝料の金額を決める際には、⑴婚姻期間、⑵有責性、⑶相手方の資力が、主な要因として考慮されます。

お尋ねのように、財産分与とは別に慰謝料を請求することは可能です。その際の財産分与は清算的・扶養的な要素だけを考慮することになります。一方、慰謝料を、財産分与の金額を決定する際に考慮すべき事情として組み入れ、財産分与の額に加算するよう請求することも可能です。

 

 

【民法 770条1項】 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき

三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

五 婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

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