相談事例~離婚④~

離婚に関する相談事例④

皆さまからお問い合わせが多い離婚に関する法律問題をまとめてみました。なお,統計資料や法律改正等は,総務省統計局、法務省のホームページ等が参考になりますので,そちらをご参照ください。

※ただし、素材としている判例・事例等は必ずしも最新のものとは限りません。また、下記内容は一般的な内容にとどまりますので、個々の事案については当事務所は責任を負いません。ご使用は自己責任でお願いいたします。個々の事案に関する詳しい内容につきましては、当事務所までご相談ください。

■CASE1 親権~父親と母親のどちらが有利?

私と妻は結婚して10年が経ち、3歳になる息子がいます。妻は息子を連れて実家に帰り、離婚調停を申し立ててきました。私も離婚には応じようと考えています。妻は息子の親権がほしいと主張していますが、父親である私が親権をとるのは難しいでしょうか。

A 離婚の際、夫婦のどちらが子どもの親権者となるのかを定めなければなりません(民法819条1項、同2項)。

お尋ねのように、離婚には合意しているものの、親権者になることについて譲らず紛争になっているCASEは決して少なくありません。近年増加し、激化していると言われています。その背景には、少子化、離婚条件の駆け引き、感情的な対立の影響などがあります。

家庭裁判所では、①乳幼児における母性優先の原則、②継続性の原則、③兄弟不分離、④面接交渉の許容性など、いくつかの基準について、個々のCASEの事情を勘案し、子の年齢や状況に応じて基準の優劣を検討しつつ比較衡量するとしています。

具体的に考慮される事情とは、①親の事情(年齢、性格、健康状態、資産、収入、居住環境、家庭環境、子に対する愛情、実家や親族らによる援助体制等)と②子の事情(年齢、性別、心身の発育状況、学校関係、交友関係、子の意思、父母との関係性、環境の変化に対する適応性等)が挙げられます。これらの事情を上記基準に照らして総合的に考慮し、親権者を指定する判断をしています。

今回のCASEでは、妻が実家に子どもを実家に連れ帰ってしまっているという状況ですので、父親であるあなたが親権を取得するためには相当な努力が必要と言えます。なぜなら、一般的には子どもが父または母のどちらかのもとにいるという現実の状況を前提にして、その状況を変更する必要性があるのか、という視点で上記の事情を考慮し、親権者指定の判断される傾向にあるからです。ただし、妻が子どもを連れて出た事情や連れて出て行ってからの期間の長さにもよりますので、一括りには判断できないでしょう。

 【民法819条】 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。

 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。

■CASE2 面会~子どもと面会したい

妻と私は離婚協議中で、妻が5歳の息子を連れて実家に帰っているため別居状態です。別居が始まってからずっと子どもと会っていません。会いたいのですがどうすればよいのでしょうか。

A 離婚後の面会交流については、家庭裁判所に子の監護に関する処分についての調停・審判を申し立てることができます(民法766条)。しかし、離婚前の子の監護については規定がありません。

今回のCASEでは、離婚協議中ですので、離婚前の子と親の関係にあります。

では、離婚前の子と別居している場合、別居している親は子に面会できないのでしょうか。

これについては、民法766条を類推適用し、子の監護に関する処分として、家庭裁判所に対して面会交流を求める調停・審判を申し立てることができます¹´。

なぜなら、婚姻関係が破綻して父母が別居している場合であっても、子と同居していない親が子と面会交流することは、子の監護の一つとして考えられるからです。

したがって、協議離婚中の面会交流についても、あなたと息子さんが面会することによって息子さんの福祉や利益を害することがない限り、家庭裁判所の審判によって、定期的な面会が認められる可能性があると言えるでしょう。

¹´(最決平成12年5月1日)

 【民法766条】 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

■CASE3 面接交渉~養育費を払わない元夫に子どもを会わせたくない

私は離婚して5年になりますが、これまでずっと元夫から連絡がありませんでした。離婚時に取り決めた養育費も一度も支払われていません。離婚時には月に一回息子と面会できる旨を取り決めました。つい最近、元夫から「息子に会いたい」と連絡がありました。私としては、養育費をずっと支払って貰っていないので子どもと会わせたくありません。元夫の請求を拒むことはできますか。

A 元のご主人が養育費を支払っていないという理由で、面接交渉を拒むことはできません。

面接交渉の権利と、扶養義務に基づく養育費請求権(民法877条1項)は法的に別個のものとされているからです。

もっとも、面接交渉は、子どもの福祉の観点が重要視されていますので、養育費を支払わないことが子どもの健全な育成を脅かしている程の経済的困窮を招いている場合には、子どもの福祉に反する事情として考慮される可能性があります。

今回のCASEのように、元のご主人が養育費を支払っていない場合でも、元のご主人とお子さんの面会を拒否することは難しいでしょう。ただし、元のご主人が養育費を支払わないことに対しては、面接交渉とは別に、強制執行等の手続きにより養育費を確保することができます。

また、実際には、定期的な面接交渉が実現していると養育費を支払う率も上がってくるという関連性があるとする統計データもありますので、法的には別個で関連性はなくとも、相関関係があるということもできるでしょう。

【民法 877条1項】 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

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